今や名古屋を代表する観光資源となっている名古屋めし。
2005 年の愛知万博を機にブームが本格化したといわれます。
それに先駆けて代表的ブランドを集めた“名古屋めしストリート”として人気を博してきたのがエスカでした。
当コラムでは、名古屋めしに詳しいフリーライター・大竹敏之が、エスカに出店する人気店の店主や担当者と対談し、出店のいきさつやブレイクの経緯などを語ってもらいます。

第 10 回 スガキヤ

▼スガキコシステムズの水野綾哉さん

「名古屋、愛知のソウルフードであるスガキヤをより多くの方に食べてもらいたい」

ラーメン&ソフトクリーム スガキヤ 初代店⾧ 水野綾哉(りょうや)さん
1995 年、愛知県犬山市生まれ。スガキコシステムズ営業部新店オペレーショングループリーダー。学生時代に学内にあったスガキヤでクルー(アルバイト)となり、卒業と同時にスガキコシステムズに入社。いくつかの店舗の店⾧を経てエリアマネージャーを勤め、これまでに担当した店舗は50 店舗以上。現在は新規出店の店舗の運営指導を中心に担当する。中日ドラゴンズファン。

開店22 年目にリニューアル。明るいイメージで誰もが入りやすく

――エスカの店舗はもともとちょっと高級路線の「寿がきや」でしたよね

水野さん「はい。2002年に『 寿がきや』としてオープンしています。しかし、近年エスカ全体で観光のお客様が増えてきたので、より広い層に名古屋のソウルフードであるスタンダードなスガキヤの味をお届けしたいと考え、ノーマルな“赤いスガキヤ”・・・と我々は呼んでいるのですが、『ラーメン&ソフトクリーム スガキヤ』に2024 年7 月リニューアルしました」

――名古屋の観光客の増加、名古屋の食への注目度の高まり。それが背景にあってのリニューアルというわけですね。客層などに変化はありましたか?

水野さん「スーツケースを手にした観光客の方は増えました。若い方も増えてより幅広い層に来ていただけている。間口を広げて明るいイメージにしたので、観光客に限らず誰もが入りやすくなったと思います」

▼「ラーメン&ソフトクリーム スガキヤ」として2024 年7 月にリニューアルオープン。2 大人気メニューを店名に冠し、スガキヤ初体験の観光客にも魅力をダイレクトに訴求する

クイック提供を徹底。一部店舗限定のセットも

――水野さんはその際に店⾧を務めたのですよね

水野さん「はい。オープン前の従業員のトレーニングに始まり、開店後も一ヶ月ほど現場に立っていました」

――ショッピングモールを中心に出店しているスガキヤにとっては、いつもと異なる立地で新しい消費者を開拓する役割も担う店舗。プレッシャーもあったのでは?

水野さん「名古屋駅での出店もほぼ初めてでしたし、絶対に失敗はできないぞ、という気持ちでした」

▼「犬山市生まれで大学も名古屋だったので、スガキヤのラーメンは数え切れないくらいずっと食べています(笑)」

――他の店舗と比べて、サービス、メニューなど何か違いはあるのでしょうか?

水野さん「まず重視したのは料理の提供スピードです。場所柄、お急ぎのお客様が多いのでとにかくスムーズに提供しなければならない。どの店舗もラーメンの提供は2~3 分を目安としているのですが、ここではオープン前研修の時からタイムを測って、その時間内の提供を徹底させました。
メニューでは、ラーメン、五目ごはん、クリームぜんざいのスガキヤセットをご用意しています。これは代表的な商品を一度に味わえる“ザ・スガキヤ”というべきセットで、ここ以外ではセントラルパーク店などごく一部でしか販売していません」

――スガキヤセットは価格もよりお得になっています。観光客に喜ばれるのはもちろん、普段スガキヤを利用している人こそお得さが実感できてありがたみを感じられそうです

水野さん「実際、地元のお客様も多いのです。名古屋駅周辺には、以前はイオンタウン太閤店しかなかったので、名古屋駅を普段から利用されている方や周辺にお勤めの方など、くり返し足を運んでくださる常連さんもいらっしゃいます」

――スーちゃんグッズも販売していますね

水野さん「ほぼフルラインナップ揃えて販売しています。グッズだけで売上全体の10%ほどあり、スガキヤ全店舗の中で一番売上が多いくらいです」

▼おなじみのマスコットキャラクター、スーちゃんのグッズ。アパレルからぬいぐるみ、小物類まで多彩で、一番の売れスジはキーホルダー

――お客さんの利用の仕方に違いはありますか?

水野さん「ショッピングモールの店舗では昼のご利用の比率が高いのですが、エスカ店はランチ以外でもピークがなだらかに⾧く続き、夜でもあまり売上が落ちません。スガキヤは単価が低いので、駅立地は難しいのでは?という先入観があったのですが、エスカ店はずっと業績も好調なので、今後は出店の候補地が広がる可能性もあるかもしれません」

名古屋めしのひとつとしてスガキヤの味を

――以前、あるテレビ番組のアンケート調査で愛知県民に「スガキヤラーメンを食べたことがある?」と尋ねたところ、9 割が「食べたことがある」と回答しました。ラーメン評論家は「こんなに浸透しているご当地ラーメンは他にない!」と驚いていましたが、私は逆に「1割も食べていない人がいるの?」と本気で思ってしまいました。一企業のメニューではありますが、これはもうまぎれもないご当地ラーメンであり、名古屋めしのひとつだと思います

水野さん「そう思っていただけるのは素直にうれしいです。名古屋めしが日本全国さらには世界に広がっていく中で、その中のひとつとして変わらないスガキヤの味をたくさんの方に届けていけたらと思っています」

――ラーメンの味は創業当時からずっと変わらないのですか?

水野さん「実は少しずつブラッシュアップしています。最近では2024 年9 月に麺とスープをリニューアルしました。これによって、より麺とスープのバランスがよくなりました」

――懐かしさをともなうスガキヤラーメンらしさを守りつつ、時代に合わせて進化もしているのですね。ここ数年、スガキヤは新業態開発やグッズの販売などこれまでになかったチャレンジが目立ちます。今後の展望は?

水野さん「新しいことにも挑戦していますが、ベースにあるのはこの赤いベーシックなスガキヤです。この店、このラーメンがあってのスガキヤなので、そこの部分は変わらず何より大切にして、よりお客様に愛されるスガキヤにしていくのが基本だと思っています」

店舗情報

ラーメン&ソフトクリーム スガキヤ
豚骨スープに魚介ダシを合わせた和風豚骨スープのラーメンは名古屋&愛知の人たちのソウルフード。巻頭写真のスガキヤセット900 円は単品価格よりも160 円もお得。他、ラーメン、特製ラーメンのセットもある。エスカの一番南側にあり新幹線改札への移動もしやすい。
Tel. 080・6993・9644
11:00~21:00(L.O.20:30)

【聞き手】大竹敏之
名古屋を専門分野とするフリーライター。エスカの名古屋めし推しの取り組みについては著書『間違いだらけの名古屋めし』(ベストセラーズ)にも詳しい。著書はこの他、『名古屋金シャチさんぽ』(風媒社)『名古屋の酒場』『名古屋の喫茶店完全版』(リベラル社)など。
Yahoo!ニュースに「大竹敏之のでら名古屋通信」を配信中。
https://news.yahoo.co.jp/expert/authors/otaketoshiyuki